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<<ArcanA Collection>>

---全ての元凶・契約の悪魔---
HN:
蘇芳
性別:
男性
自己紹介:
暗い紅髪 金の猫目。
ギザギザのノコギリの様な歯。
黒いバサバサなマント。

通称、紅い悪魔。

救いようの無い妻バカ。
高じて魔界一美しい桜の木に囚われる。
現在、少しでも早く愛妻・破璃の元に戻るため努力中。
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偽島・蘇芳小話
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あれから、どれくらい時間が経ったのだろうか。
サバスに破れ、気がついたら満天の星空の下、砂漠に放り出されていた。

何一つ物音のしない静まり返った夜の世界。

まだ、体がだるい。

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** after  eno.892... **


「…………おい、何でお前さんがにゃんこ達といるんだ。」
旅を同行することになっていた白い猫の子・にゃもと一緒にかにパンを食べていた毒百足の精モモコを、蘇芳は摘み上げた。
蘇芳はそのままにゃもたちとは少しはなれた木陰に移動すると、目の高さまでモモコを持ち上げ少し顔をしかめる。

それは昨日(3日目)の出来事である。

 

「あれま、旦那……顧問の旦那じゃないかい?」

見渡す限りの砂地の中、日陰を探して辺りを見回していた時のことである。
艶やかな女の声に蘇芳は振り返る。

……誰も居ない。
気のせいか、と歩を進める。

「ちょいと旦那…アンタ、あのボケパンダと同じ事するんじゃないよ!

――蘇芳って、私の前では煙草吸わないよね。どうして?

蘇芳は煙草に火をつけながら、まだ破璃が妻ではなかった頃の言葉を思い出す。
元々、嗜む程度にしか煙草は吸わない。
そして、吸うのは、彼女が傍にいない時……決まって、独りでぼんやりしてる時だ。

紅い悪魔は独りでいる事には慣れていた。
妻の前世と出会い、そして死に別れ、生まれ変わった彼女に出会うまで、誰にも寄り添う事は無かった。
気の遠くなるほどの年月も、彼女と再び出会えると信じていたから、平気だった。

ニコチン中毒は、悪魔である彼にとって意味がなかった。
常習性なんてもちろんなかった。
それでも、自然と煙草に手が伸びる事があった。
子供騙しな精神安定剤でも、無いよりマシだと思っていた。

あの時は何と言ったんだっけ…。
ぼんやりと立ち昇る紫煙を見つめながら、紅い悪魔は記憶辿る。

紅い悪魔が降り立ったのは偽島唯一の波止場。
いつもはこんなに混んでいないのに、こりゃ酒場も混みそうだ、と、船乗りがぼやく。
まるで冒険者の入れ替えしてるみたいだ、と紅い悪魔は思った。

黒いマントをたなびかせ、ゆったりとした歩調で人込みをすり抜けていく。

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