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「……あの男、本当に底意地悪いな。」
晴れた日の昼下がり。
「本当に無粋だ。あんな奴、馬にでも蹴られて死んじまえばいいんだ。」
偽島への連絡船乗り場の建物の屋根の上、バサバサの黒いマントをたなびかせた悪魔が立っていた。
「……お?そうすりゃ、外的理由で契約が終わって俺様は契約違反ではなく解放されるなァ。」
流石俺様、冴えてるなァと、悪魔はノンビリした口調。
――紅い悪魔の記憶は三日前に遡る。
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――久しぶりに意識が浮上した。
今回はどれくらい眠っていたのか、どれほどの時が経ったのか、時間の感覚がまるでない。
緩やかなまどろみは死と似ていると、誰かが言った気がする。
でも、そうは思わない。
一定しない浮き沈みする意識。
自分の思い通りにならない身体。
自分は何もできない。
貴女の声が聞こえるのに。
貴女の涙が見えるのに。
こんな風に泣かせるつもりじゃなかった。
こんな風に泣かせるつもりじゃなかった。
こんな風に泣かせるつもりじゃなかった。
こんな風に泣かせるつもりじゃなかった。
その気持ちが、俺を苛む。
――死よりも苦痛だ。
「蘇芳君、キミ、探検はお好きですか?」
嫌いとか好きとか関係ない。
貴女の元に還るためなら、俺は何でもする。
――貴女の涙を拭くためなら、何でもする。